2013/11/24

メディアセンターを考える

 行政や教育関係の方々、そして一般市民の方々に、視聴覚ライブラリーの存在価値を再認識してもらえる、地域の映像を中心としたメディアセンター的発想の重要性についていろいろな場面で取り上げてきました。
この思いは今も変わりません。

 と言うのは、かねてから地域視聴覚ライブラリーの廃止や組織統合が行われてきており、視聴覚ライブラリー総数を統計から見ても、最盛期の半数程度までに減少しているのが現実です。
廃止あるいは組織統合の理由はと言うと、映画や録画教材の貸し出し業務は図書館や生涯学習センター等の施設等で行えるからというのが大半のようです。
それに対して、映画教材や録画教材の団体貸しは視聴覚ライブラリーのみが行える業務である的な話だけではあまり説得力がないように思うのです。
ここで再度考えて頂きたいのです。

 それは、視聴覚ライブラリーという組織をただの“映画や録画教材の貸し出し屋”的な発想だけでよいのでしょうか?
それはそれで、地域に大きな影響力を持ちうる文化事業として否定するものではありませんし、逆に映画文化はしっかりと根付いている事を認識した上でコメントすべきでしょう。

 しかし、繰り返し述べてきましたが、このICT化した社会の中で、メディア環境は多様化し、今では、誰でも写真や動画を見聞きするだけでなく、撮り創り送る事ができるようになってきているのはご存じのとおりです。
当然の事ながら、そこには世代や生活環境によって、見聞きすることも、ましてや創ることなど出来ない方々との格差を生み出したり、弱みに付け込んだ、情報犯罪の多発など情報リテラシーの脆弱さが問題になっているのが現実でしょう。
ご存じのように、今日の生涯学習社会は、受身の学び時代ではないと思うのです。

 各地で、積極的に活躍しているのは、自らが社会問題や学習課題等に主体的に取り組む、サークルやグループ、NPO等であることに注目したいのです。
これからのメディアは、むしろそれらのグループや団体、NPO等の主体的活動により、“学び・創り・送り・使う”ことになるのではないだろうか、視聴覚ライブラリーは過去の発想にとらわれることなく、そんな市民メディア活動支援の機能をメインに考えるべきではないでしょうか。

 各地方の自作視聴覚コンクール等を見ても、かつてのように学校が自作教材の大半をしめていた時代から、個人や地域の同好会、NPO法人等の作品が次第に増え始めているようです。
また、企業任せという形が多い、ICT関係の技術講習などもNPOやボランティアグループが主催して成果を上げているケースも多くみられます。

 また、社会教育施設のみならず広い意味での生涯学習として、高齢者施設や保育関係施設、あるいは介護施設等々でのメディアを使った活動を行うNPOも増えています。
視聴覚ライブラリーを唯の“映画や録画教材の貸し出し機関”から、ICTを駆使し、メディアを学び・創り・送り・使うための学習機会の共有、技術支援、機器及び環境提供をサポートする地域メディアセンターとしての発想を転換すべき時代に来ているようにも思うのです。