2020/01/25

視聴覚ライブラリーと著作権

「映画や録画教材を視聴覚ライブラリーとして買うと一般の人が買うよりどうして高いのですか?」と言う質問をよく受けます。
 視聴覚教育関係施設の方々はもうご存じでしょうが、”ライブラリー価格”には、法的な根拠があるのです。
 それは、視聴覚ライブラリーは、営利を目的とせず映画教材や録画教材を貸与する事が業務であり、他の社会教育施設とは異なった形で、映画や録画教材等の著作物貸与を行っています。
 従って、著作権法では、視聴覚ライブラリー側著作権者側と協議して、ライブラリー価格(通常の販売価格+補償金)を設定しているのです。
 そこで、視聴覚ライブラリーの映画や録画教材貸し出しに関する著作権法第38条について、記載しますので業務を進める上で参考にしてください。
 注 この規定に基づき、視聴覚ライブラリー側を代表して全視連と著作権者側を代表する映文連等3団体が協定書を取り交わしています。

▼著作権法
第38条 営利を目的としない上演等
 [1]営利を目的とせず,観客から料金をとらない場合は,公表された著作物を上演・演奏・上映・口述することができる。ただし,出演者などに報酬を支払う場合はこの例外規定は適用されない。
 [2]営利を目的とせず,貸与を受ける者から料金をとらない場合は,CDなど公表された著作物の複製物を貸与することができる。ただし,ビデオなど映画の著作物の貸与については,その主体が政令(施行令第2条の3)で定められた視聴覚ライブラリー等及び政令(施行令第2条の2第1項第2号)で定められた聴覚障害者等の福祉に関する事業を行う者(非営利目的のもの限る)に限られ,さらに,著作権者への補償金の支払いが必要となる。 


















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2020/01/03

地域メディアサービスの拠点


明けましておめでとうございます。
令和の新春、各地域の視聴覚センター・ライブラリー関係の皆さんにとって充実した年となることを心より期待しています。
AI環境が定着しつつある今日、メディア利用の状況を見ますと、誰でもスマホを使い、写真や動画等を撮り創り、SNS等を利用して公開したり交流する事が日常化している事はご存じのとおりです。
 半面、高齢化社会と言われる今日、世代や生活環境によって、情報を見聞きすることや、まして創り送り交流する事などと縁遠い方々も多く、格差を生み出している事も事実で、弱みに付け込んだ、情報犯罪の多発など情報リテラシーの脆弱さも大きな課題となっているのも現実でしょう。
 今日の社会は、受身の学びだけでは通らなくなっており、各地で、自ら社会問題や学習課題等に主体的に取り組む、学びのサークルやボランティアグループ等が活動するようになってきている事実にも注目したいと思います。
 これからの視聴覚メディアは、むしろそれらのグループや団体等の主体的活動により“学び・創り・送り・使う”ことに大きな役割を担うことになるのではないでしょうか。
例えば、各地方の自作視聴覚コンクール等を見ても、学校や社会教育施設等が自作教材の大半をしめていた時代から、地域の同好会やサークル等の作品が多くなっているようです。
また、ICT関係の講習などもNPOやボランティアグループが主催して成果を上げているケースも多くみられます。
 つまり、視聴覚ライブラリーは、そのような市民メディア活動を支援する機能を重視すべき時代に入っていると思うのです。
 愚見を述べさせて頂ければ、
視聴覚ライブラリーは“映画や録画教材の貸し出し機関”だけでなく、メディアを学び・創り・送り・使うための学習機会の共有、技術支援、機器及び環境提供をサポートする地域メディアベースとして機能する時代に入っていると思うのですがー。