2018/10/05

子どもの心を揺さぶった映画の話


猛暑、豪雨、地震、台風と自然の猛威に振り回される日々―
災害に合われた地方の皆様は,ざぞ大変な日々をお過ごしの事と心よりお見舞い申し上げます。
季節は巡ると言いますが、時代も大きく変わり、かつて学校教育の授業で映画やテレビを主とした視聴覚教育も大きく変わってきています。
 先日、久し振りに会った先輩が、昔、小学校の視聴覚主任をしていた頃の話を聞かせてくれました。
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若い頃、自分が映画好きだったので、よく学校で、児童劇映画をあまり難しい事は考えもしないで、全校児童に見せる“子ども映画教室”と言うのを開いていたんだ。
 視聴覚主任とは名ばかりでね、子ども映画教室ばかり熱心に(?)にやっていたんだよ。
 ある時ね、校長先生から“児童劇映画を見せる事もいいが、君は教師なんだから、映画を見せることによって、子供達にはどういう教育効果があるのか、しっかりと研究しなければいけない”つまり視聴覚教育の理論をしっかりと勉強しろと指導されたんだね。
 私の視聴覚教育って、こんないい加減なことからスタートしたんだよ。
そうそう、映画と言えば、この間NHKの“ブラタモリ“と言う番組で大谷石の事を取り上げているのを見て、昔、子供たちに見せた “石山の歌“と言うタイトルの児童劇映画を思い出したんだよ
 この映画はね、大谷石を手掘りしていた頃の話で、大谷石を手掘りで採掘していた共働きの親たちが 仕事で疲れ、家に帰ってきても、子供と団らんする事や家事すらできなかった過酷な労働環境から、少しでも、気持ちがやすらぐよう家庭の状況を改善したいと、音楽の得意な先生が子供たちとともに「石山の歌」と言う歌を作り歌うことにより親子の気持ちを明るくしていったという話を映画にしたんだそうだ。
 私は、もう、ストーリーすら覚えていないけど、そこに流れた歌と、厳しい労働に取り組む両親の仕事ぶりの映像を見ていた大勢の子供がすすり泣いていたのを思い出すんだ。
ところがね、この歌は、当時の城山小と言う学校の先生が作曲して、子供たちが作詞したもので、今でも石碑に描かれて残っていると聞いて驚いたね。
実話だったんだね 
その歌はー
チャッキンコーン チャッキンコーン
父ちゃん石おこし  石かたかんべんな
腰が痛かんべ  腰もんでやっかんね 
かあちゃんこっぱはき しょいこおもかんべなあ
かたがはっぺな かたもんでやっかんな
   チャッキンコーン チャッキンコーン 
  引用:作詞:城山中央小学校児童 作曲 杉浦すみ(同校教諭) 教配映画「石山の歌」     
と、まあ、こんな歌だったような気がするんだ(記憶違いだったらゴメン!)
それからね、後日開かれた父母会の際に、大勢のお母さん方が、その映画を是非見せてほしいと言い出したんだ、何故?って聞いたら、その映画を見た子供たちがね、家での仕事を手伝ったり兄弟で教え合って宿題をしたりするようになってきた。と言うんだよ。
もしね、私が、そういう子供たちの心の変容を期待して、この映画を見せていたとしたら、我ながらハナタカなんだけど、残念ながらそんな教育意図すら持たなかったダメな視聴覚主任だったんだよ。」
                 *
先輩は、ここまで話すと、当時を思い出すように、じっと窓の外を見つめていました。
 今日と言う時代、ICT化等により教育方法の進化充実を図る事は不可欠だが、底を流れる人間を育てる教育は変えてはならないな、と思いました。