2014/09/16

地域映像教材を創る

 前回の続きになりますが、優れた地域映像教材・作品を拝見すると、改めて映像教材や作品の制作・利用・学習機会提供に関する機能は、視聴覚センター・ライブラリー独特の得意技だなと思います。

 しかし、全国的に見ると、前述のような得意技を十分に発揮している視聴覚センター・ライブラリーはそうは多くないように思われます。

 この欄でも何度か取り上げていますが、現在、或はこれからの時代を見通した時、メディア・リテラシーの重要性は誰もが認めている所だと思います。

メディアを批判的に読み解くと、よく言いますが、肝心の映像がどのような考え方で作られているのか理解できなければ、本当の意味のメディア・リテラシーは育たないと思うのです。

 かつて、宮本輝作の「泥の河」を映画化した小栗康平氏が著書の中で次のように述べています。

 「家庭でも学校でも、大人になって社会へ出てからも映像の見方は誰も教えてくれません。学校でも映像をわかりやすい情報として活用しているだけで映像とは何かという根本的な問いはありません」注:「映画を見る目」NHK出版2005

 確かに、メディアは何であれ、映像が、子供達の感受性と、その成長に大きく関与しているのですが、学校は無論、社会教育等においても殆ど触れられていませんし、それについては、ごく一部の方々を除き無関心なのが現状でしょう。

 「伝えたい思い」を映像や言葉、音響等総合的な表現によるメッセージとして発信し、そのメッセージを見聞きした人々それぞれの受け止め方で伝わった時に、はじめて映像メディアとしての特性が発揮されたことになると思うのです。

 今日のICT社会において、上記のような映像について学ぶ機会を持ち、自主制作したり、制作グループを養成し支援する環境や条件を持ちうるのが、視聴覚センター・ライブラリーではないでしょうか。

2014/09/07

自作視聴覚教材を考える

 先月のブログは、夏休みなどと、勝手な理屈をつけて、ついつい“メディアをグチる”なんて事を書いてしまい反省しています。
 批判したり、悪口を言う事は誰でも言えます。大切な事は、仮に問題があるとすれば、それをどう改善したらよいか、共に考える前向きな発想だと思います。

 そんな意味で今後のブログを書きたいと思います。

 さて、話題を変えて、今年も全国自作視聴覚教材コンクールが実施され、社会教育部門では山形県米沢市の米沢自作視聴覚教材制作研究会のみなさんが作られた「伝統工芸 深山和紙」が、文科大臣賞(最優秀賞)に選ばれました。

 その他優秀賞に「受け継がれる伝統 篠路獅子舞」「三河木綿ー伝統を紡ぐ人々ー」「といといの子どもたち」が選ばれました。

 社会教育部門は、年々応募数が増えており、今年は総応募数の半数を占めました。

 応募作品には、個人が作った作品、メディア関係組織が行う講習会等で作った作品、視聴覚センター・ライブラリーの自作事業として制作された作品、或は自作ボランティアグループが作った作品、公的な組織が自事業のために作った作品などなど、いろいろあります。

 各道府県や団体が開催する自作コンクール等でも数の多少はあるかも知れませんが、同様な傾向が見られるのではないでしょうか。

 このような自作傾向を見ていていつも思うのは、こんなに素晴らしい作品が毎年自作されているならば、これらの作品を単に作って終わりにしてはならないという事です。

 自作視聴覚教材の良さは、地域に根差したきめ細かい企画と、その地域の人々の目線で作られているという事です。

という事は、他にはない、その地域独自の作品であり、その地域で利用されることに最大の意味があると思うのです。

 つまり、自作視聴覚教材は作ったら終わりではなく、それを利用する事が大切だと思うのです。

 よくアーカイブ化と言われ、それぞれ専門的な研究機関や団体施設等が積極的に進めており、視聴覚センター・ライブラリーもその趣旨を生かし、地域映像教材等のアーカイブ化の一翼担うべきでしょう。

 しかし、視聴覚センター・ライブラリーの役割は、アーカイブ化した地域自作視聴覚教材を地域における学びや暮らしに役立つよう積極的に利用のためのサービスを行う事にあると思います。

 今年受賞された作品が、それぞれの地域に持ち帰られて、多くの学びや暮らしに活用されることを楽しみにしています。